沖縄には「うるま」という言葉があります。「うる」とは珊瑚を意味し、「ま」と島や場所、空間を意味します。したがって「うるま」とは“珊瑚の島”という意味になりますが、これが同時に琉球の別名(雅名)でもあるということは、この沖縄がそのまま珊瑚の島であると、昔の人々にも意識されていたのでしょう。
沖縄の島々はまさに、巨大な珊瑚礁が海の上に顔をだして形成された島です。珊瑚礁とは珊瑚が気の遠くなる長い年月を経て化石化し岩のようになったもので、その珊瑚礁自体がまた新たな珊瑚やさまざまな生物の生きる環境にもなっています。
また、化石サンゴは大きな塊としての珊瑚礁となるだけでなく、崩壊した砂粒として海の底に堆積します。これが、サンゴカルシウムとして食品に利用されるようになりました。沖縄近海の海底に堆積した化石サンゴは誰でもが自由に採取できるものではなく、一定の条件を満たし許可された事業者しか採ることができません。海底の堆積物を食用として利用できるのは、それが美しくて清浄な沖縄の海の産物だからでしょう。
写真提供:沖縄ハム総合食品株式会社
カルシウムは育ち盛りのお子様にとって必要なミネラルというイメージが強いですが、実際はあらゆる世代の人々にとって欠かせないもので、わが国の成人は慢性的に摂取不足の状況にあるといわれています。骨は人間の体格をつくり運動機能を支えるものですが、もう一つ、カルシウムの貯蔵庫としての役割があります。人間の血液中のカルシウムは、細胞や筋肉、神経の働きを正常に保つのに必要とされます。そのため、血中カルシウム濃度は一定に保たれるようになっています。骨から血中にカルシウムが溶けだしたり(骨吸収)、反対に血中のカルシウムが骨に取り込まれたり(骨形成)することで、血液のカルシウム濃度が一定になるように調節されているのです。
ですから、血中のカルシウム濃度が下がると、それを補うために骨のカルシウムが血液に与えられ、それが過度に続くと骨がすかすかになる骨粗しょう症になってしまうのです。カルシウムの吸収率は加齢とともに低下し、特に閉経を迎えた女性はホルモンバランスの変化によりカルシウムが血中に溶けだす作用が強まるのだそうです。
カルシウムを摂取するには、乳製品や小魚類などが良いといわれていますが、好き嫌いやカロリーコントロールなど様々な事情に合わせて、多様なスタイルの摂取の仕方があります。サプリメントの利用も有効な手段といえるでしょう。そうした中、カルシウム素材の一つであるサンゴカルシウムは様々な微量元素も含まれています。沖縄の太古の自然からの贈り物です。
(一社) 沖縄県健康産業協議会 専門コーディネーター 照屋 隆司(日本臨床栄養協会認定 NR・サプリメントアドバイザー/農学修士)